As an aim 

目的として

コロナウィルス感染の収束の兆しが見えず、525日に緊急事態宣言解除され、新たに“With コロナ”の日常が始まった。ソーシャルディスタンスが視覚的に設定された空間、文化施設や店舗の事前予約制度が設けられたり、様々なデザインのマスクが市場に回り始め、手の消毒と公共空間の使い方とコミュニケーションの形態が一新した。リモートワークが定着し、移動時間の節約、他者との空気の共有が 無いことに抵抗を覚える人はどの程度いるのだろうか。私は少なくとも違和感を否めない。効率的な時間の獲得と並行して、喪失または損失した社会的・経済的側面、教育的側面は、未知のまま進行中だ。2020年の年末までの生活を視野に入れ、社会的動物として”ひとり一人が語るにおいの記憶“にフォーカスを当て、記憶を記録し、老若男女の時代性を切り取っていきたい。生育環境、経済的生活環境、文化、言葉も異なれば、その意識は自ずと多様性あるピースが集まるだろう。2020年としての「においの記憶のパズル」が表情を示すだろう。プロジェクトでフォーカスできる人間は、一握りに限られるが、個々が無意識に心身に蓄積している変化や、今の生活時間から回想されるにおいを表現する言葉が、対話する人の脳に形と彩りを与え、共鳴や相違を誘い、個々の記憶の連想が始まる。誰かの心に自分のポートレイトを描き、更なる記憶のリレーをつなぎ。誰かを優しく包み込んだり、背中をおす機会になったら幸いである。

 

2020年 7