Guest 本橋仁さん

「おうちから半径100メートルのにおいーテレワーク中、銀閣寺あたりを歩いてくんくん考えた!」


Worming up :京都の山椒文化を味わってみる

*においのアイテム(山椒・七味)アレンジ

事前に配布(郵送)した”山椒と七味”を使ってマリアージュを楽しんでもらいました。何の料理に合うか、どのように食べてみたかを参加者にお聞きしました。

Aさん

今、料理をどうしてもやりたくなくて、どうしようかと思っていて。ヨーグルトにそれぞれ山椒、七味をかけてみました。

Dole:キウイ&ラ・フランスヨーグルト

*山椒:おしゃれな中華料理屋さんの野菜のサラダのドレッシングぽくなる。

*七味:ピリッとして後からじわじわ辛くなる。ゴマの香ばしさを感じる。

好みは山椒のほうが美味しく感じました。


Bさん

京都の七味が好きで、山椒入りのものを時々購入しています。普段は、豚汁とかお味噌汁にいれて食べていますが、今回は、アレンジして本橋さんのアイテムシートに書いてあったので、きんぴら牛蒡を作って入れてみたら美味しかったです。山椒が効いてピリッとして美味しい。唐辛子も程よく効いて美味しい。

山椒の実は、ちりめん山椒によく使うのですが。山椒の粉は、カリフラワーのスープに入れたら美味しかったです。

・豚汁

・お味噌汁

・きんぴらごぼう

・カリフラワーのスープ


Cさん

京都だと、当たり前のように“山椒文化”がある。

京都の北にカウンターに壺が置いてあり、けし、ごま等それぞれのアイテムが置いてある山椒屋さんがあり、おじさんがブレンドしてくれる。その商品を買ったら、とても美味しく飽きません。

 *マリアージュ:そば、ゆば、鳥料理にあう。

*ツナサラダ:山椒の実は、冷凍庫に入ってい好きなアイテム。ツナ缶に混ぜて食べる。ツナサラダはぼてっと重たくなりがちだけど、山椒の粒を入れると美味しい。

・日本酒にも合う。

・タルタルソースにも入れてもあう。

・こんにゃくを炊く時にもチラッと入れるとあう。

Dさん

山椒は、「ひたすら妄想しろ」と聞き間違えていました。

子供の頃にフラッシュバックする。子供の頃に高尾に住んでいた時に、陽が当たらない場所に山椒が生息していて、アゲハ蝶の幼虫がついていた。日陰で野生的な場所で生息していたからか、棘がすごかった。アゲハ蝶は、みかんより山椒を美味しいと思うのか。初めて嗅いだ山椒がその匂いだったので、その経験の記憶が強くフラッシュバックしてしまうんです。

 〜妄想レシピ〜

・山椒、七味は、比内地鶏がとても好きで、白レバーにかけたら美味しそう。

・ネック、甘い脂身が多いところにかけると美味しいだろう。

・マーマレード、チーズに山椒で合わせたら美味しいだろう。

・白っぽい柔らかいチーズに乗せたら美味しいだろう。

・チャイにも合ういそう。

 

韓国料理にハマっているので、ビビンバをよく食べる際、スパイスは、キムチに押されてしまうが、なんで、山椒がないのかなと思っています。

・きっとビビンバに入れたら美味しいと思います!

 まだ、想像だけですが、食べてみたいと思っています。



参加者へお送りした山椒について

3年前に京都に来て、とにかく驚いたのが、スーパーには普通に山椒の実が売っていること!6月初めになると、こだわりあるスーパーでも、普通のコンビニみたいな「フレスコ」(京都には馴染みあるお店)にも時期になると並びます。これが、時期が短くて、1〜2週間ないくらいしか店頭に並ばず、すぐに消えてしまう。

京都に来た一年目は驚きのあまり買いそびれて、手に入れられず。そもそも山椒の実を買って何に使うか、どのように使うか分からなかったんです。でも、だんだん京都の料理には様々なものに山椒が使われていて、地元の人たちは、一年間分の山椒を大量購入し、保存処理をして日々使い続けているということがわかり、2年目からは僕も2〜3パック(けっこうな量)を購入して保存処理を施し、通年家で食しています。作り方は、まずボールいっぱいの山椒の実を茹でて、熱を冷まして、水気を飛ばし、少し枝を残していますが、実をひとつひとつ食べやすいように処理をして冷凍保存して1年間で使い切ります。東京の料理で使う時は、粉で使うか、実で使う時もありますが、葉っぱは、木の芽と呼ばれ、叩いてお料理の香り添えに使うなどします。


今までは、山椒は鰻のために生まれてきたモノだと思い、あまり意識していたなかったけれど、今では、贅沢に実をたくさん入れた山椒鍋を作ったり、白菜と豚を入れてお出汁で煮るだけでも美味しいです。

また、花山椒というものもあり、これは4月頃に山椒よりも一足先に出回ります。結構な高級品(40g 1600円位〜)。これはスーパーでは出回らず、出回ってもすぐなくなる。高級品。これは牛肉に巻いて食べたり、普通にそのまま食べたりもします。高級品なので、なかなか食べられません。

それが京都に来て自分がよく出会うようになった匂いです。

長文屋さん(七味専門店)

Google mapより

京都駅―御所、金閣寺から少し南に下がった、嵐電(京福)北野線の北野白梅町駅から徒歩2〜3分、北野天満宮の近くにある七味屋さんで、僕はいつもここで購入したものを使っています。今回、皆さんにお送りしたものもここの七味です。

現在は、建物が新しくなってますけど、店内に入るとカウンターがあり、ごま、山椒、辛子など薬味が6〜7種類ほどすり鉢に入って順番に並んでいて、お店の人が、その場ですりこぎで混ぜて袋に順番に入れて調合してくれます。京都の七味はどこで購入しても基本的に山椒が多めですが、オリジナル注文もでき、今回の七味は、“山椒特に多い目”とオーダーして作ってもらいました。

結構、お店は、観光客が立ち寄り買っていきます。北野天満宮の近くなので観光の際は、ぜひ行ってみてください。面白いと思います。そんな気がしています。

**「長文屋さん」**

京都府京都市北区北野下白梅町54-8  営業時間:10-18時 Tel:075-467-0217

食べログ https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260501/26005487/

Amazon https://www.amazon.co.jp/京都・北野-長文屋-紀州産-石挽-山椒/dp/B07MV94FN1


本橋さんの仕事のお話し

僕の職場は、京都国立近代美術館で、岡崎公園、平安神宮の大鳥居、京都市京セラ美術館がリニューアル、ロームシアター京都のホールや動物園など様々な文化施設が集まっている一角にあります。1986年に秋文彦の設計で建てられた美術館で、京都はあまり現代建築は少ないので、京都駅は現代建築ですが、建築回りのポイントになっていたりました。

基本的に展覧会を作っているのですが。興味がある人は誰でも自分たちで情報をえてきてくれるのですが、興味のない人にもきてもらいと自分のポリシーとしている。それをどのように、興味をもってもらえるかなというのを自分の中での意識のポイントとしています。

本橋仁氏 Zoom screen shotより


「チェコデザイン100年の旅」展

こないだ「チェコ・デザイン100年の旅」という展覧会を担当していて、東京にも巡回したので、もしかしたら見た方もいるかもしれません。開期中に、みなさんのおもちゃの声を募集して、展示されているおもちゃの作品に勝手に声をつけて投稿してください。案内をして、展覧会をつくるだけではなく、お遊び(企画)もさせてもらっています。

 

 

例)キャップを被ったお人形の声「先生!好きな子に告白するのって校則違反ですか?」など


募集して送ってもらった言葉をアニメにしてyoutubeで流したりして、展覧会をつくりながら一緒にいろんなことをやっています。こういったことが基本的には、日常の仕事です。

これが「チェコデザイン100年の旅」展の展示空間になります。

芸術家アルフォンス・ミュシャ(ムハ)が生まれ、またフランス絵画から影響を受けたチェコ・キュビズムと呼ばれる独自の様式を生み出したチェコ。さらに、アニメやおもちゃに至るまで、20世紀のチェコは世界を魅了する数々のデザインを生み出した国として知られています。しかし、その100年を振り返れば、戦争や占領そして政変といった刻々と変わる国家の情勢にデザイナーたちが翻弄された世紀でもありました。

本展はチェコ・デザインの100年を、家具やプロダクト、ポスターなど、チェコ国立プラハ工芸美術館所蔵の作品を中心とした約250点の作品により紹介します。歴史軸に沿って紹介される作品は、チェコひいてはヨーロッパの情勢が20世紀のデザインに与えた影響の、一断面を示すものとなるでしょう。

 

京都国立近代美術館HPより抜粋

 


この展覧会は、全国5会場巡回して、関東では、神奈川県立近代美術館(葉山館)―世田谷美術館などで開催されました。これは、あまり予算がなかったので、建築家を入れることができなかったので、僕が図面をひいて設計したものです。普段の美術館の施設をちょっとバージョンアップさせる、普段の美術館に寄り添う感じでフレームをつけていって、作っていきました。

今まで、どんなことをやってきたかもご紹介します。

「バウハウスへの応答」展

バウハウスは名前を聞いたことある人は多いとおもいますが、ちょうど2年前(2018年)は、バウハウスが設立されて100年の節目を迎えるということで、それを記念した展覧会を、世界各国のいろんな所で共同して実施する企画があり、日本での拠点がうちの美術館(京都国立近代美術館)で、僕が担当することになりました。

本展は、そのバウハウスの今日的意義を再考する国際プロジェクト「bauhaus imaginista(創造のバウハウス)」の一環として開催されるものです。ここでは、ドイツで生まれたバウハウスの教育理念とカリキュラム、特に工房教育と予備課程が、日本とインドという異なる歴史・文化背景をもつ地域で、どのように受容され展開したのかに注目し、その足跡を、100点あまりの関連資料や記録、当時の学生たちの作品などによって辿ります。また本展のために、二組のアーティスト、スウェーデンのマルメを拠点に活動するルカ・フライそしてロンドンを拠点とするオトリス・グループが、バウハウスと日本とインドをめぐる作品を新たに制作します。

京都国立近代美術館HPより抜粋


バウハウスに関する展覧会の様子です。

本橋仁氏 Zoom screen shotより

歴史資料の展示と、現代アーティストが今のバウハウスをどのように見直すかという作品のコラボレーションを展開した会場です。

京都でやったもの、アメリカでやったもの、中国でやったものを全部、最後はドイツに持っていくようなプログラムでした。


「世紀末ウィーンのグラフィック」展

2019年に「世紀末ウィーンのグラフィック」を企画させてもらった展覧会です。これは東京の目黒区美術館に巡回しました。うちの美術館に、ウィーンの世紀末のグラフィック作品、クリムトとかエゴンシーレの作品が、何年か前に複数収蔵したことがあり、その作品の整理がひと段落ついた節目にやった展覧会です。

当館は、2015年に世紀末ウィーンのグラフィック作品コレクションを収蔵しました。このコレクションは、アパレル会社の創業者、平明暘氏が蒐集したものです。1897年の分離派結成から1914年の第一次世界大戦勃発までのウィーンでは、グスタフ・クリムトやヨーゼフ・ホフマンらを中心に、新しい時代にふさわしい芸術そしてデザインのあり方が模索され、数多くの素晴らしい成果が生まれました。中でもグラフィックの分野は、印刷技術の発達や雑誌メディアの隆盛を背景に、新しい芸術の動向を人々に伝え、社会に浸透させる重要な役割を担いました。本展では、300件にのぼる膨大なコレクションの全貌を紹介するとともに、同じく平明氏旧蔵のリヒャルト・ルクシュによる石膏彫像と貴重なアドルフ・ロースの家具一式をも加え、世紀末ウィーンの息吹と魅力をお伝えします。

京都国立近代美術館HPより抜粋

 


本橋仁氏 Zoom screen shotより


こんな会場で、あまり順路を設定しない展示空間を建築家の人と共同して制作しました。

「ドレスコード?―着る人たちのゲームー」展

これはメインではなかったのですが、展覧会会場の設計などを建築家たちとコラボレーションのところで、僕が担当しました。ファッションの展覧会で、「ドレスコード?―着る人たちのゲームー展」という展覧会です。

ファッション、そこには暗黙のルールや駆け引き、あるいはゲームにも似た自己と他者のコミュニケーションが存在します。歴史的にも、身体を保護するという機能的な意味での「着る」にとどまらず、ファッションは「視る/視られる」対象として、社会生活における自己と他者の関係性の構築に一定の役割を担ってきました。インターネットとSNSの普及によって、誰もが自らの日常の装いの実践を自由に発信できるようになった現在、私たちとファッションのかかわり方もまた新しい局面を迎えています。本展では、ファッションやアートのほか、映画やマンガなどに描かれたファッションも視野に入れながら、現代社会における〈ドレス・コード〉をめぐる、わたしたちの装いの実践=ゲームについて見つめ直します。*本展は第25回国際博物館会議(ICOM)京都大会にあわせて開催するものです。

京都国立近代美術館HPより抜粋


本橋仁氏 Zoom screen shotより

現代アートとファッションを並行して見せていく内容の展覧会でした。

これは、東京の初台のオペラシティにも巡回しました。

普段では建築の展覧会では使わないような素材を利用していまして、

実は、オフィスビルなどの床下に配線などを通すためのOAフロアという床上げ材の使って会場デザイン、会場設計してもらいました。


「分離派建築会100年展 建築は芸術か?」展

今まさに、企画してやっているのが、井上さんも観に行ってくださったんですけど、「分離派建築会100年展 建築は芸術か?」という展覧会です。これは、今、まずは、東京のパナソニック汐留美術館で開催中。

 

パナソニック汐留美術館HP https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/4278

大正時代、日本の建築界に鮮烈なインパクトをもって現れた新星たちがいました。日本で最初の建築運動とされる分離派建築会です。大正91920)年、東京帝国大学建築学科の卒業をひかえた同期、石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守によって結成され、その後、大内秀一郎、蔵田周忠、山口文象が加わり、昭和31928)年まで作品展と出版活動を展開しました。

2020年で結成から100年。本展は、図面、模型、写真、映像、さらには関連する美術作品によって、変革の時代を鮮やかに駆け抜けた彼らの軌跡を振り返ります。分離派建築会が希求した建築の芸術とは何か。日本近代建築の歩みのなかで果たした彼らの役割を、新たな光のもとに明らかにしていきます。

京都国立近代美術館HPより抜粋

 


今感じで京都会場の設計を建築家と一緒にしています。

今回、設計を担当してくださる「木村松本建築事務所」さんと、グラフィックデザイナーの人と一緒に普段は展覧会を作る仕事をしています。

感覚をひらく

展覧会を作る仕事も一つあるのですが、もう一つは、チェコのおもちゃの作品に声をつけてくださいと言うよな、普段美術に興味がない人たちに、どうやってきてもらうか、興味を持ってもらうか、自分たちと関係があることなんだと知ってもらうきっかけを作っています。

その一環のひとつで、感覚をひらくという活動をやっています。

出発点は、目の見えない人たちと美術鑑賞をどうするかということを目的としていて、どうしても僕たちは、美術鑑賞というと前提として目で作品を見ることと考えてしまいますが、それが前提になってしまうと、目の見えない人たちにとっては、美術館と言う場所は彼らには関係のない場所になってしまいます。

なので、そうではなくて、目が見えない人たちも美術館にきていいんだよ。活用できる場所であるという取り組みを何かできないかと思って、僕と何人かのスタッフと一緒に「感覚をひらく」企画を実施しています。

写真:本橋仁氏 Zoom screen shotより


いろんなこと、例えば音を使ってとか、鼻を使ったり、彫刻であれば触ってもらう、絵画であれば、語り合うなど一緒に言葉を通して美術鑑賞をしたり、いろんな美術鑑賞の方法をみんなで作っていく形で、目の見えない人に美術作品を伝えるのではなくて、目に見えない人たちと一緒に、何か同じ方法で、目の見えない人へのサポートではなく、新しい鑑賞法を作っていく方向性でやっています。

みなさんのお手元に配ったお手元に配ったパンフレットの表紙には、「何人目の登場人物です」と番号が書いてあると思いますが、みなさんのは何番ですか?僕の手元には、4986と書いてあります。5000番とか。みなさん全員ちがう番号が書かれています。目が見えない人も、僕みたいに建築が好きな人も、犬並みに嗅覚が良い方も、それぞれがもっている感覚は個性なので、目が見える見えないに関わらず、男女の性別のちがいも関係なく、“ひとりの個性”として、何を捉えて、何ができるかを伝えたくて、パンフレットの1ページ目を開くと、「1人で感じるところから始まって、一人でも美術鑑賞はできる。10人で集まったら何ができるか、100人、1000人集まったら何がで


きるか、人の単位だけでこの美術鑑賞は広がりがあると言う思いがあり、それを伝えるためにチラシもこのような形でデザインしています。

色々な鑑賞の仕方、井上さんのこの「においの話」にも講師として参加していた齋藤名穂さん(建築家/デザイナー)にもご協力いただいて、色々なプログラムを作っています。僕も建築が専門ということもあり、建築を対象に何かやりたいなと思って、つくったのが「建築を楽器にする」というプログラムで、「感覚をひらく」の一つのプログラムになっていて、みんなが木琴のバチみたいのを持って、建築を叩くというプログラムです。

建築叩いて大丈夫なの?と聞かれることもありますが、これで壊れちゃったら、建築の意味が成り立たないので、“全然、大丈夫です”!!(笑)

「叩いてください」と言って、みんなで建築の音を聞きます。叩く時に一緒に建築にも触るので、建築の形と音、素材と音との関係を体験して、建築はこんな素材が使われているなど知る(学ぶ)ワークショップをしています。

美術館の模型も作り準備して、手で触りながら、高さ方向や、これぐらいの壁の高さの部屋にいるんだよ。など解説して空間や建築を体感していきます。

京都国立近代美術館だけでは飽き足らず、ロームシアター京都まで足を運び(許可はもらっています。笑)ホールまで入れていただきました。記録写真は、筑波大附属盲学校の学生達が来てくれた時のものです。みんな見えないか、弱視の子たちなど、色々な人が来てくれました。

これが主に美術館の仕事になります。

「家を渉る劇」

美術館以外の取り組みとして、“建築を五感で感じてもらいたいな”というのが自分の中であって、そのうちの一つとして、演劇を文化財の建築の中で開催するというプロジェクトを劇団と一緒にライフワーク的にやっています。

Performance photo: Kenji Seo    本橋仁氏 Zoom screen shotより

ゲッコーパレードという集団がいて、僕もその集団の一人なのですが、みんなで文化財の建築を借りて、その中で演劇活動をしています。家の中の空間を使って、家の演劇をするのではなくて、「家を渉る劇」をしています。*紹介写真は、リンドバーグの大西洋横断の物語を、家の中を大西洋に見立て、空間構成をしてパフォーマンスを行います。

 

ゲッコーパレード https://geckoparade.com/whats-on

←これは、早稲田の演劇博物館で読んでもらい開催した時です。

“家なのに家じゃなくなる”家に見えなくなる瞬間を作っていくことで、建築空間の認識が頭の中で変わっていく、再構成させることで、空間概念が変わり、凝り固まった建築の概念を新たな視点、体感に変えて、自由に建築を捉えてもらいたい。と思っています。


納豆工場が大西洋

もう一年前になりますが、仙台の宮城の納豆の工場が”大西洋”になりました。

井上:質問していいですか?

    鑑賞者は至る所で見ていいと言うことですか?何人ぐら

    いまで集客を受け入れていますか?

本橋:基本的には、どこで見てもいいのですが、リンドバーグ

役の子に付いて行って見ないと内容がわからないので、なんなく付いていきながら観るスタイルです。観客数は10人ぐらいかな。会場になる場所にもよりますが、この時は、10名がマックスでしたね。

納豆工場 本橋仁氏 Zoom screen shotより


少人数しか一度に入れられないので、1日3公演とかして、予算はトントンで赤字にならないように、黒字にはあまりならないかな。“ひたすらやる!”って感じです。(笑)

井上:本橋さんも演者になりますか?

本橋:僕はなりません。裏方です。例えば、このときは、納豆工場の人たちに演劇やりますと言うと、それだけで怪

          訝な感じになるので、僕たちの集団は、変な人たちではなく、問題のない集団ですと伝える役割。扉はゆっく

          り閉めるとか、畳ではすり足しないなど、建物の使い方を調整する人です。

本橋:今日これから外に出るんですけど。

そもそも井上さんからこの「においの話」オンライン・ワークショップの企画のお話もらった時が、春の自粛期間中だったので、何ができますかねと話して、「最近、新しい匂いに気づきがありますか?」と聞かれて、無茶な質問だなと思ったんですけど、その時に、僕の職場もその頃、テレワークになっていて、ずっと家にいて籠るのもダメだなっと思って、近所の散歩ぐらいは行っていました。幸いなことに、家の近くが「哲学の道」という場所で、観光地で有名なところで、西田幾多郎がいつもここでふけっていたということで、この名前がついた道なんですが、いつも朝や夕方に散歩していて。

普段は、たくさん観光客が来るのですが、自粛期間中は、人がいなくなって、桜の時期は、地元の人が来てたくらいで本当に人を見かけなくなったんです。

そして、逆に贅沢な時間を過ごせました。

人がいないということもありますが、印象的だったことが、雑草が生え始めたことです。

〜哲学の道〜

地元の人たちは、意識高いひとが多く、日々この哲学の道の草むしりをしてメンテナンスしているんです。近所の学生さん達もボランティアでやっていたりするのですが、コロナでその活動もできなくなって、もしゃもしゃ草が生えはじめて、今まで見たことがない景色が現れはじめて、自分の中では、面白く興味深く思いました。草の匂いなども、徐々にしはじめて、普段の手入れが行き届いた綺麗な状態も良いのですが、このもしゃもしゃした状態も印象深くて良かったです。

 

本橋仁氏 Zoom screen shotより


緊急事態宣言が解けたときに、皆がやり始めたのが、“草むしり”だったのが面白くて、皆実は、嫌だったんだな。と思ったんです。風景として、草がボーボーになっていたのが印象的でした。

 

自粛期間中は、家から少し歩くとすぐに「哲学の道」なので、妻と一緒に急須を持ち出して、お茶をしたりしてました。勝手に居間の延長でお茶をしてました。そんな感じでテレワークもしてました。


実際に、哲学の道がどんな感じかを今日は、お話しできたらと思うので、これから僕は外に出かけます。

*携帯にズームを切り替え。

本橋:家の中も見せつつ。10分くらいで帰ってきます。マスクもして。寒いので、上着を着て〜。

井上:京都は寒いですか?

本橋:そうですね、もう寒いです。

   では、いってきま〜す。家の中が見える。Youtuberみたいですね。

井上:お家がまた素敵。

本橋:家の玄関前で植木の紹介。これが、南天です。そして、僕が大事に育てている蝋梅。今年も蕾が出ているので、

          きっと花が咲くでしょう。

 画像が歩速に合わず、カクカクした映像になりました。

本橋仁氏 Zoom screen shotより


 

これが鹿ヶ谷道。

さらにいくと、哲学の道

(参考までに)http://toppa10.web.fc2.com/brari/s_kyoto_sakyo1.html

 

本橋:人がやっぱりすごいです!!

井上:この映像が独特で面白い。カクカクしていて、絵画みたいで面白い。

井上:人がすごい。やばいね。

本橋:結構、木々は枯れていますね。写真に写っていた場所、あの上に登ると法然院というお寺さん。

*法然院 https://souda-kyoto.jp/travel/koyo/index.html?idk=0000154

 

井上:ゴッホの絵みたいで、本橋さんが歩いて撮している画像が面白い。 

本橋:ちゃんと見えているか心配。

井上:大丈夫です。あとで記録映像を楽しんでください。

本橋:ちょこちょこ人がいますね。まあまあ人いますね。紅葉の時期なので人が来ますね。

井上:空気の匂いはどうですか?

本橋:くんくんくんくん(空気を吸っている)

井上:川が近いとそんなに乾燥しないですか?

本橋:そうですね、一年中この辺りは、ジメジメしています。

*****本橋:足音*****

本橋:冬、緑の枯れている時期なので、枯葉の香りがします。

     これなんだろう?

 

参加者:山茶花?

    法然院側の暗い湿った方歩きたい。いつになるかな。寒い京都の匂い思い出します。うれしいなあ。

本橋:お土産屋さんも、今は通常営業で復活してますね。

井上:陽が暮れている感じもいいですね。

本橋:まだ3時ですけどね〜。あの頃は、見渡す限り人がいなかったけど。あっちに行くと銀閣寺。

   外で、これやっているのは恥ずかしいです。Youtuberみたいですね。

     この近所はいい旅館があったりします。実際に人が住んでいない家もありますが、住宅もあります。

          (参考)銀閣寺 https://www.shokoku-ji.jp/ginkakuji/

 

井上:結構、人が出ていますね。

本橋:永観堂という紅葉で有名なところがあります。天気が良くてよかったです。

   (参考)永観堂 http://www.eikando.or.jp

井上:冬寒なところがいいですね。

本橋:テレ京都ですね〜。

井上:山椒も香り、バーチャルトリップを楽しめています。外歩いている人は寒いけど、見ている人たちは、寒くない

   のがいいですね。映画ともちがう臨場感。京都に行きたくなりますね。

 

井上:京都の空気も送れたらいいのにね〜。

本橋:この辺は贅沢な道があるけれど、コロナ以前はそんなに来たことがなく、通り過ぎるだけだったのですが。こ

          の辺は、人通りも多いから。あまり来ないけれど。半径100メートルの開拓ができました。そして、近くのお店

          を知ることができてよかったです。

井上:坂も経験しなくていいので、とってもいい。登らなくていいのは、すごく楽!

本橋:向こうは吉田山。

 

井上:大学院生の頃、吉田山の節分祭に行ったことがあります。元ダムタイプで、今、お弁当の作品を作っている京

          都市芸術大学教授の小山田徹さんと友達とみんなで節分際に行ったことがあります。初詣なので、旧正月で、お

          そばと恵方巻きを食べたりしました。

 

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本橋さん帰宅。

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井上:おかえりなさ〜い。奥さんもいるし、家族感覚満載!画面越しでもあったかい。

**参加者から拍手!!!喝采!!!!**

井上:生配信はやっぱりいいですね。見ているだけで、香りの違いもわかりますね。有難うございました〜!

本橋:これで、僕の話は終わります〜。

以上